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TRANOMON HILLS Station
Front Dental Clinic

保険診療と自費診療の違い〜根の治療編〜

こんにちは歯科医師の滝口です。ここ数回のコラムで保険診療と自費診療の違いについて色々なトピックからご説明させて頂きました。保険診療は、健康保険や国民保険などに加入されている患者さまが一定レベルの治療を受けられる制度です。保険治療は日本特有の制度で、他の国にはありません。歯科治療を受けようとすると日本の保険治療の2〜3倍以上の高額な医療費がかかります。そのため若い頃から歯に対する意識が高く、予防に関する知識やケアを徹底して行っています。日本は保険診療により患者さま負担が安くなるため「痛みが出てから歯医者に行く」「虫歯になってもまた治療すればいい」と考えられている方もいらっしゃるかもしれません。日本の保険診療はある一定レベルが担保されているため悪い治療ではもちろんありません。ただ、根の治療(以下根管治療)では保険治療と自費診療では多くの点で違いがあります。今回は根管治療にフォーカスを当てて保険診療と自費診療の違いについてご紹介したいと思います。

1、 診査・診断方法の違い

1、	診査・診断方法の違い

歯医者さんに行くと虫歯や根の感染がないかを確認するため、歯科衛生士や歯科医師がお口の中を拝見し、レントゲン写真を見て虫歯の進行具合や感染の有無を判断します。通常の保険診療での検査の方法がこの2つです。みなさんは前歯や奥歯に何本の根っこがあるかご存じですか?前歯は1本、小臼歯(4番目、5番目)は1本(根の部屋は1〜2)、大臼歯(6番目7番目)は3本(根の部屋は3〜4)と言われています。しかし、通常の2次元的に撮影するレントゲンでは、特に根の部屋が2本以上になる小臼歯や大臼歯では、全ての根の状態、周囲の骨などの組織を写そうとすると確認できないことがほとんどです。しっかりと確認できていない根っこを治療したり、根が4つあるところを1つ見逃して治療を終えてしまうことも少なくありません。
一方自費診療の根管治療では、レントゲン写真とは別に必ずCT撮影を行います。CTは医科ではよく耳にされますが歯科治療でもとても有効です。CTは3次元的に歯の状態を撮影し診断することが可能で、歯の根の数や顎の骨の状態、神経や血管の位置などを立体的に写し出すことができ、実際にどこの根が感染しているのか、あるいは根に破折などがないか、より正確な根の状態を把握することができます。CT 撮影をすることで根管治療の確実性、成功率を高めることができます。

2、治療の質・使用できる薬剤などの違い

2、治療の質・使用できる薬剤などの違い

●ラバーダム(防湿)

●ラバーダム(防湿)

根管治療は、根の中で細菌感染している部分をきれいに取り除き根の先の病巣を治癒させることが目的です。根管治療を成功に導く重要なポイントとして、新たな細菌を根の中に入れない状態で治療をするということがあります。お口の中には何万もの細菌がいるため、根管治療中に唾液が入ってしまうとせっかく根の中を綺麗にしていても治療期間が長くなってしまう、再発するなどの可能性が高くなります。そのため、自費の根管治療中は唾液が入らないようにする対策として「ラバーダム」というゴムのシートを被せて治療する歯のみを露出させる防湿という作業を必ず行います。この方法で、根の中に唾液が入らないようにし、新たに細菌感染を起こさないように確実に治療を行います。残念ながら保険診療ではラバーダムの防湿を行わないで治療をする医院もあります。

●マイクロスコープ(顕微鏡)

●マイクロスコープ(顕微鏡)

マイクロスコープは治療部位を3倍から25倍まで拡大することができ、モニタ上で確認しながら、治療ができるデジタル機器です。歯の根管は細く、中は暗いため肉眼でははっきり捉えられないのが実際です。根の形態を正確に見ることができ治療の精度が格段に上がるのは言うまでもありません。また、マイクロスコープを使用すると、感染した根の中だけを清掃することができる、つまり健康な歯を限りなく残すことできます。根管治療の成功率を上げる一つの要因として、根管治療でどれだけご自身の健康な歯を残すことができるかが重要なポイントです。近年は必要以上に根管を広げるような治療は歯をできるだけ残すことで治療後の破折などのリスクも軽減されることから推奨されなくなってきています。そのためにもマイクロスコープの使用はとても効果的です。

●Ni-Tiファイルの使用

●Ni-Tiファイルの使用

Ni-Tiファイル(ニッケルチタンファイル)は、ニッケルとチタンという金属からできています。ニッケルチタンファイルは、柔らかくしなりがあるという特徴があります。根の形は人それぞれで根の先が曲がっていたり、複雑な形態をしている方もいます。このような形態ではニッケルチタンファイルのようなしなりのある器具が根の先端まで感染したところを除去できるため、感染したところを確実に取り除くことができます。

●保険で認められていない薬剤の使用

根管治療中に穿孔(根に穴が開いた状態)が認められることがあります。前の根管治療でできた穿孔のこともあれば、虫歯などにより穿孔してしまうこともあります。保険診療では、虫歯治療などにも使用される樹脂の材料を詰めて塞ぎますが、自費診療では「MTAセメント」という封鎖性のより高く、細菌の侵入などをより防ぐことが可能な材料を使用することができます。

3、通院回数

虎ノ門ヒルズ駅前歯科では、自費診療の根管治療を選択された場合、根管治療を専門とする歯科医師が治療にあたります。保険の根管治療で根の洗浄、薬の交換を10回以上繰り返された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。マイクロスコープを使用することで治療の質が上がりますが、マイクロスコープを誰が使うかということも治療の成功率は変わります。当院では、症例によって前後しますが、平均で2〜3回の通院回数で治療を終えることがほとんどです。その分専門の歯科医師が1回60分ほどの治療時間をしっかりと取り根管治療を行います。

4、成功率は?

保険診療と自費診療で根管治療を行なった場合の成功率の差は正直あると言えます。しかし、世界的に見られるその成功率を評価する論文では方法にも違いがあるため、一概に何%と言い切ることはできません。しかし、精度の高い自費診療の根管治療を行い歯との適合に優れ細菌の付着しにくい自費の被せ物をされている歯の再発率は低くなると確信しています。そして、一度根管治療を行い再発してしまった歯にはできる限り精度の高い方法を選択することで、その歯の寿命を少しでも長くできると考えています。

5、費用

保険の根管治療:3千円前後
自費の根管治療:前 歯:抜髄40,000円(税込)、感染根管60,000円(税込)
        小臼歯:抜髄50,000円(税込)、感染根管80,000円(税込)
        大臼歯:抜髄70,000円(税込)、感染根管100,000円(税込)

自費診療の金額は根の状態や根管治療が初めて(抜髄)なのか、再治療(感染根管)なのかによって変わります。詳しくは歯科医師にお尋ねください。

 

◎まとめ

 

根管治療を何回か繰り返すことで、その歯は少しずつ削られてしまいだんだんと脆くなっていきます。CTなどで根の形態、病巣を3Dでしっかり把握する術前の診査診断を行うこと、そしてマイクロスコープなどの顕微鏡、ニッケルチタンファイルなどを用いてできる限り精密にそしてご自身の健康な歯を出来るだけ守る根管治療を行うことも大切です。当院は根管治療を専門に治療をしている歯科医師が在籍しています。治療を繰り返されている方、ご自身の根の状態に少しでもご不安がある方、ぜひご相談ください。

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「虎ノ門ヒルズ駅前歯科」

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