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歯の神経は抜くべき?抜かないべき?

歯の神経は抜くべき?抜かないべき?

みなさんこんにちは、歯科医師の滝口です。
「歯の神経を抜かないといけないかもしれないと言われた」「歯の神経は抜かない方がいいと聞いたけど本当なのかな?」と歯の神経についてお悩みをお持ちの方、これから虫歯を治療するけれどご心配な方、当院にもそのようなお悩みでご相談に来られる患者さまが多くいらっしゃいます。今回はそんな「神経を取る=抜髄」についてのご質問、疑問に少しでもお役に立てればと思っています。

1、 歯の神経を取るってどういうこと?

1、 歯の神経を取るってどういうこと?

歯の神経は専門用語で歯髄と言います。歯髄は歯の内部にあります。歯髄はいろいろな刺激を脳へ伝える神経ももちろんありますが、たくさんの毛細血管も存在しています。この毛細血管が歯に栄養や酸素を供給している役割があります。そのため、神経を取ると、歯への栄養や酸素が供給されなくなるため、ツヤがなくなったり、だんだんと赤黒く変色することがあるのです。もちろん歯の強度自体も弱くなります。

抜髄の目的

1. ズキズキと強い痛みがある場合
虫歯が進行し、細菌感染が歯髄にまで到達すると炎症を起こし、強い痛みを感じます。歯髄炎(しずいえん)という状態です。特徴的な症状として、何もしなくてもズキズキと痛む、夜になると痛みがひどくなる、痛み止めも効かない、という症状が起きてしまうと高確率で歯髄に炎症が起きているため抜髄をしなくてはなりません。

2. 痛くないけど神経まで感染している場合
虫歯菌が歯に感染すると歯が溶けていくことはみなさんご存知ですよね。細菌感染が歯の奥にまで進行してしまうと虫歯を取り除いていく過程で神経の近いところないしは神経に到達してしまう深い感染を起こしていることがあります。その場合は痛みが術前になくても神経がすでに感染している可能性が高いため、神経を取る抜髄という処置を行うことがあります。

3. 神経が死んでいる場合
痛みが全くなかった、数週間前に強い痛みがあったがその後なくなった、などといったケースでは、歯髄が細菌感染しいつの間にか壊死(えし)という、神経が死んでしまう状態になることがあります。原因として多いのは、過去の治療の影響、虫歯が徐々に進行した、ほとんど目には見えない亀裂や破折により歯髄が死んでしまうことが挙げられます。壊死してしまった歯髄はそのまま残しておくと歯髄が腐った状態になり感染が根の先に広がり、根尖性歯周炎(こんせんせい歯周炎)という感染を起こしてしまいます。そのため、歯髄を取ることで細菌感染の拡大を予防する効果があるのです。

抜髄のメリット

抜髄のメリット

1. 感染したところを取り除き、感染拡大を防ぐ
抜髄することによる大きなメリットは、前述したように細菌感染した歯髄を取り除くことで、さらなる感染拡大を防ぐことができることです。歯髄炎になっても、歯髄が生きている間は、歯髄細胞が持つ細菌と戦おうとする免疫機能が働き、細菌の増殖はある程度抑えることができます。しかし、歯髄が壊死してしまうと免疫機能も失われてしまうため、細菌がどんどん神経の部屋である根管内で増殖してしまうのです。

2. 痛みがなくなる
抜髄すると、痛みを感じている歯髄が取り除かれるため、痛みはなくなります。歯髄炎にも程度があるため、軽度の歯髄炎では冷たい刺激などの一時的な刺激などで誘発させる痛みであることが多く、歯髄が健康な状態を取り戻し、痛みが収まることも多くあります。しかし、神経の全体に炎症が広がる重度の歯髄炎になってしまうと、痛み止めも効かない、仕事も手につかないなどみなさん耐え難い痛みを感じられるため、抜髄することで痛みがなくなることは大きなメリットになります。

抜髄のデメリット

抜髄のデメリット

1. 歯が脆くなる
抜髄すると前述したように歯髄には血管から栄養や酸素、水分なども供給されているため、抜髄することによりだんだんと乾燥していくような状態になっていくため健康な歯に比べると脆くなってしまいます。また、歯髄が入っているお部屋をきれいにするために歯の内部を一部削るため、少しではありますが歯が削られてしまうことにより脆くなるということは言えます。

2. 歯の変色

抜髄すると、血管による栄養などの供給が止まってしまうので歯の代謝機能は無くなってしまいます。そのため、歯の組織の変性物などが歯の内部の象牙質を構成している象牙細管に沈着していくことで、抜髄からしばらく経過すると赤黒いような変色をします。歯の黄ばみなどはホワイトニングで白くすることができますが、歯髄を取ってしまった後は通常のホワイトニングでは白くすることができません。

3. 痛みを感じなくなり虫歯や感染が知らない間に進行する

痛みを感じなくなるのはメリットでもありますが、一方で歯の異常事態を痛みで感じなくなることがデメリットになることがあります。抜髄後は神経の入っていたところに根の薬を入れていきますが、それでも唾液などに含まれる細菌によって根が感染してしまうことがあります。しかし感染していても痛みを感じなくなった歯は病巣が大きくなるまで気づかないこともあります。病巣は根の先で大きくなると顎の骨を溶かし、歯茎まで達してしまうこともあります。そのため、抜髄後は定期的にメインテナンスやレントゲンを撮ることをお勧めします。

4. 根の再治療が必要になる可能性がある
前述したように、抜髄をした後も治療方法やその際の状況によっては再度根の中の治療が必要になる再根管治療を行わないといけない場合があります。歯の神経は入口も狭く神経の部屋も肉眼では見ることがほとんどできないほど狭い部屋です。限られた時間と設備では根管の中を出来るだけ傷づけることなくきれいにすることが難しいことがほとんどです。再治療になる可能性は0にはできませんが、しっかりとはじめの抜髄処置で精密な根管治療を行うことで再治療の可能性を低下させることにつながります。

抜髄の治療ってどんなことをするの?

抜髄の治療ってどんなことをするの?

抜髄という根管治療の流れをここではご説明します。
通常抜髄になる場合は、痛みを生じていることが多く、ほとんどのケースで局所麻酔をおこなってから処置を始めます。
その後は原因となっている虫歯などを削り、神経の入り口まで歯の中を慎重に削っていきます。神経を取り除く器具には細いリーマーなどと呼ばれる専用の器具を使用します。このリーマーには細かい溝が掘られており、その溝を利用して根の中の神経を取り除いたり、感染してしまっている根の中を除去していきます。削りかすや細菌などを洗い流します。根の中を綺麗にする治療に数回治療が必要になります。

根の部屋が綺麗になったことを確認し、その中は空洞になっているため防腐剤の役割にもなるお薬を最終的に詰めていきます。
その後は虫歯で削った歯を補強し、詰め物被せ物の処置を行います。

まとめ

抜髄の目的、メリットやデメリットについてご説明しました。歯の神経を抜くべきなのか、抜かないべきなのか、もちろん出来るだけ抜かない方が良いこともみなさまお分かりだと思います。しかし、どうしても神経を取らないといけないこともありますが、抜髄を避けるできるだけの治療を行い、患者さまの大切な神経を守れるような治療をご提供しています。抜髄は最終手段です。最終的には患者さまにご納得いただいて神経を抜く、抜かないの判断をしていますので治療の判断に迷われている方などお気軽にご相談ください。

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