根管治療を中断するとどうなる?途中でやめると起こる問題
こんにちは。東京都港区「虎ノ門ヒルズ駅」より徒歩1分にある歯医者「虎ノ門ヒルズ駅前歯科」です。

根管治療は長くかかるため、痛みがなくなると途中で通院をやめてしまう方がいらっしゃいます。
しかし、自己判断で治療を中断すると、さまざまなリスクが伴います。では、根管治療を中断するとどのような問題が起こるのでしょうか。
この記事では、根管治療を中断するリスクや中断しやすい理由、根管治療の流れについて解説します。
根管治療とは

根管治療とは、虫歯が歯髄にまで進行した際に行われる治療法のことです。
歯は、一番外側のエナメル質、神経を保護するための象牙質、神経や血管が通る歯髄から成っています。外側のエナメル質が虫歯になっても、神経からは遠く、強い痛みが出ることはありません。
しかし、神経に近くなるほど刺激が伝わり、冷たいものや熱いものを口にしたときにしみるようになり始めます。歯髄が炎症を起こすと、何もしなくても強い痛みが出始めるのです。
このまま放置すると、歯の大部分が溶かされ、歯を残せなくなることもあります。そのため、炎症を起こした歯髄を取り除き、根管内を洗浄・消毒する根管治療が必要になるケースがあるのです。
根管治療はほかの治療法に比べると難易度が高く、1回では治療が終わらないのが一般的です。また、状態が改善しなければ、長期化することも少なくありません。
しかし、根管治療は歯を残すための最後の治療法といえますので、中断することなく最後まで治療を受けることが大切です。
根管治療を中断すると起こること

根管治療を中断すると、以下のリスクがあります。
虫歯が進行する
歯髄は、冷たい・熱い・痛いなどといった刺激を感じ取る重要な役割を担っています。そのため、歯髄の炎症によりズキズキと激しい痛みが出ても、根管治療で歯髄を取り除けば、痛みはなくなるのです。
しかし、歯髄を除去したとしても、根管内が無菌化されたわけではありません。根管治療では、神経を取り除いたあとも数回にわたって根管内の洗浄・消毒を徹底して行います。
消毒で使用される薬剤の効果は、2週間ほどといわれています。また、根管治療中に取り付ける仮蓋は耐久性が低く、長くても1ヵ月程度しか持ちません。
そのため、治療を中断すると、根管内で細菌が繁殖することがあるのです。これにより、虫歯が歯の根の先にまで進行し、歯茎の中に膿を作ると、顎の骨まで吸収されることがあります。
抜歯の可能性が高くなる
歯髄を抜いたあとの歯は、血流が途絶え、栄養が行き渡りません。また、歯の質がもろい状態です。この状態で食べ物を噛むと、負荷に耐え切れず、歯が欠けたり割れたりすることがあります。歯の欠け方が小さければ、被せ物で歯を補えるかもしれません。
しかし、大きく歯が割れると、抜歯せざるを得ないことがあるのです。また、根管内から顎の骨まで虫歯菌が広がると、骨が吸収され、歯がぐらつくことがあります。歯は顎の骨によって支えられているため、ぐらつきがひどい場合には、残念ながら抜歯が必要になるでしょう。
被せ物が合わなくなる
根管内の洗浄・消毒が終わり、被せ物を作成するところで中断するケースがあります。このような場合、被せ物の作成から期間が経つと、口内環境が変わって被せ物が合わなくなることがあります。
再度、根管治療や被せ物の作り直しが必要になり、費用も期間もかかることがあるので注意が必要です。
治療のやり直しが必要になる
根管治療で痛みがなくなったとしても、その後、放置すると再度痛みが出ることがあります。根管治療を中断しても虫歯は治っていないため、いつかは治療が必要になるのです。
治療のやり直しの際には歯の切削が必要になることがあり、患者さんへの負担も増えます。そのため、自己判断で中断せず、指示された頻度で通院することが大切です。
余分な費用がかかる
再治療が必要になると、一から根管内の洗浄や消毒が必要になるため、費用がその分かかります。また、被せ物の作り直しが必要になった場合も同様です。根管治療には保険が適用されますが、再治療が長期化すると、その分コストもかかります。
経済的負担が増す場合があるため、自己判断で中断してはいけないのです。
根管治療の成功率が下がる
根管治療には歯科医師の技術力が必要といわれています。なぜなら、根管内は目で見ることができないうえ、曲がっていたり細かったりと複雑な形をしているからです。
ただでさえ難易度が高い治療のため、根管治療を中断しなかったとしても再感染を起こす可能性があるといわれています。
また、根管治療は繰り返すことで、徐々に治療の成功率が下がることもわかっています。そのため、根管治療を中断すると根管内の完全な消毒が難しくなり、虫歯の完治が難しくなるかもしれません。
全身の健康に悪影響を及ぼす
虫歯が重症化すると、根管内の細菌が全身を巡ることがあります。これにより、糖尿病や心疾患などのさまざまな病気を引き起こすリスクがあることがわかっています。根管治療の中断は、口内だけでなく健康を害するおそれもあるので注意が必要です。
根管治療を中断しやすい理由

根管治療を中断しやすい理由は、以下の3つです。
痛みがなくなったから
根管治療により、炎症を起こした歯髄を取り除くと、激しい痛みはなくなります。そのため、治ったと勘違いして、治療を中断する方がいるのです。
しかし、痛みはなくなっても、根管内の炎症や細菌を全て取り除けたわけではありません。根管治療の途中で放置すると抜歯が必要になることもあるため、最後まで治療を受けましょう。
通院回数が多いから
軽度の虫歯であれば、1〜2日で治療が終わります。
しかし、根管治療の場合は、根管内の洗浄と消毒を何度か繰り返す必要があり、土台や被せ物を作成・取り付けるまでにも時間がかかります。そのため、ほかの治療よりも通院回数が多いのです。根管内の状態が悪ければ、この期間よりも長期化することもあります。
仕事などで忙しく、通院時間を確保できない方もいるでしょう。これにより、治療を中断する方は少なくありません。また、忙しくて一度予約をキャンセルしてしまうと、次の予約を取るのが億劫になることもあるでしょう。
仮蓋や土台でも噛めるから
根管治療の途中で仮蓋を取り付けますが、痛みがなければこの状態でもお食事は可能です。そのため、自己判断で通院をやめてしまうケースもあります。
しかし、先述したように仮蓋はあくまでも暫定的に根管内に蓋をするもので、耐久性は低いです。この状態で長期間放置すると、お口全体の噛み合わせのバランスが崩れることがあるので注意が必要です。
根管治療の流れ

ここでは、根管治療の流れについて解説します
診察・検査
まずは、お口の中を診察したあと、歯や骨の状態を確認するためにレントゲン撮影を行います。状態によっては、より緻密な治療計画を立てるためにCT撮影を行う場合もあるでしょう。
診断の結果をもとに、虫歯の進み具合や根管内の状態、膿や骨の吸収の有無、治療の回数などの説明があります。根管治療は長くかかる治療ですので、不安や疑問点がある場合は歯科医師に相談しましょう。
虫歯の除去
まずは、麻酔を行って虫歯の部分をきれいに取り除きます。以前根管治療を受けた歯の場合は、詰め物や被せ物を取り除き、新たに虫歯になった部分を取り除きます。
根管内の洗浄・消毒
根管の入り口から器具を挿入し、歯髄や感染物を取り除きます。ファイルという針金のような細い金属を使用するのが一般的です。また、薬剤を使用し、根管内の無菌化も図ります。
細菌や感染物を少しでも残すと、根管内で繁殖し、再度細菌感染を起こす可能性が高くなります。そのため、2週間〜3週間に1回のペースで通院し、治療を受けることが大切です。
薬剤の充填
根管内の洗浄と消毒が完了したら、根管内に薬剤を充填します。根管内に薬剤を隙間なく詰めることで、再感染を防ぎ、歯を守ることにつながります。
土台の作成・型取り
根管治療を受けたあとの歯質は弱くなるため、土台を立てて歯の補強を図ります。歯科医院によって使用する土台の種類は異なりますが、メタルコアやレジンコア、ファイバーコアなどを使用するのが一般的です。土台を立てたあとは、被せ物を作るための型取りをします。
被せ物の装着
被せ物の作製には1〜2週間かかるのが一般的です。審美性や機能面を重視したい場合は、オールセラミックやジルコニアなどを選択するとよいでしょう。被せ物ができあがったあとは、見た目や噛み合わせを確認し、接着剤で固定して治療は終了です。
ただし、根管治療の再発やほかの歯の虫歯、歯周病を予防するためにも、定期的にメンテナンスを受けることが推奨されます。
まとめ

根管治療で歯の痛みがなくなると、自己判断で治療を中断する方がいらっしゃいます。
しかし、痛みがなくなっても、虫歯が治ったわけではありません。気付かぬ間に根管内で虫歯が進行し、ある日突然激しい痛みが出ることがあるのです。さらに、虫歯が重症化すると、抜歯せざるを得ないこともあります。
根管内の洗浄・消毒だけでなく、被せ物が入るまで治療を受けることが大切です。自己判断で治療を中断せず、指定された頻度で通院しましょう。
根管治療を検討されている方は、東京都港区「虎ノ門ヒルズ駅」より徒歩1分にある歯医者「虎ノ門ヒルズ駅前歯科」にお気軽にご相談ください。
当院は、妥協なき歯科医療を目指して幅広い治療に対応しています。虫歯・歯周病治療や精密根管治療、生体親和性、インプラント、矯正治療など、さまざまな診療を行っています。