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TRANOMON HILLS Station
Front Dental Clinic

噛み合わせと健康について

こんにちは。歯科医師の戸澤です。
みなさん噛み合わせという言葉を耳にされたことはあると思います。日常何気無くみなさんが行なっている噛むという行為は「咀嚼」と歯科の専門用語では呼びます。その咀嚼を担っているのが噛み合わせ(咬合)です。噛み合わせによって顎関節や口周りの筋肉などに影響することはもちろん、全身への影響や、脳にも影響することがわかっています。みなさんにも噛み合わせの管理や治療が日々の生活や心身の健康にとても大切であることを知っていただければと思います。

1、 噛み合わせってなに?

1、	噛み合わせってなに?

咀嚼というのは食べたり物を噛んだり、飲み込みやすい塊にする行為を意味します。食べるためには上下の歯を接触させて食べものを砕いたり、すり潰したりしますが、それだけでは噛むことはできません。人は咀嚼する時、上顎を含む頭蓋骨は動かず、下顎を動かして咀嚼しています。下顎を動かすために重要なのが顎関節、筋肉です。顎関節や筋肉はそれぞれが歯と協調するように動くため、歯科治療では歯だけでなく、顎関節や筋肉を含んだ噛み合わせの評価が重要になります。つまり、噛み合わせは、歯、顎関節、筋肉それぞれのバランスで成り立っています。そのため、詰め物や被せ物、矯正治療を行う際にも咬合の検査をしっかりと行わなければいけません。

2、 歯の適切な当たり方と噛み合わせ

噛み合わせの検査に欠かせないのが上下の歯がどこで接触しているかを確認することです。

①上の歯と下の歯を噛み合わせた時しっかりと噛み合っている

口の中を横から見た時に、上の歯の山の部分が下の歯2つの間の谷部分にしっかりと噛み合っているのが正常な状態です。この状態は「1歯対2歯」と言います。また、奥歯の歯の山とたにも上下でしっかり噛み合っているのが理想的な状態です。当院では、患者さまによりわかりやすくご自身の噛み合わせをご理解していただくために、デジタルスキャニングを用いて上下の歯の接触状態を見ていただくことが可能です。

②下顎を左右に動かした時に、犬歯あるいは小臼歯が接触(ガイド)しながら動く(犬歯誘導、グループファンクション)

下顎が安定している位置から前方、左右いずれかの方向に動いた瞬間に、奥歯の臼歯が離開(離れている)していることが大切です。理想的には左右に下顎が動いた際に前歯のみが接触することが理想的とされています。具体的には犬歯誘導(八重歯が接触する)がその理想的な接触と言われます。また、前歯や犬歯だけでなく、小臼歯(前から4番目、5番目の小さい奥歯)が接触(ガイド)に参加していることも正常に噛み合わせが機能しており大きな乱れはないと言われています。ところで、なぜ犬歯、前歯が当たっている方がいいのでしょうか。それは、臼歯が当たっていなければすり減る心配もありませんし、大きな利点として、噛むときに収縮する筋肉(咬筋:下顎と頬についている筋肉)の収縮を止めて、前歯の水平的荷重を減らすことができるからです。下顎を前に動かす、左右に動かすことで簡単にできる検査です。一度ご自身の歯の接触がどこでガイドされているのか、筋肉に過度な負荷がかかっていないか検査されて見るのをお勧めします。

3、 顎関節と噛み合わせ

3、	顎関節と噛み合わせ

顎関節は下顎の後方にあり、頭蓋骨のくぼみにはまるよう位置する部分のことです。下顎の突起状の部分を下顎頭とよび、頭蓋骨のくぼみに下顎頭を隔てるように関節円板という軟骨でできた靭帯のようなものが存在します。お口を開けるときなどは下顎の下顎頭が関節円板を乗り越えるように動くことで下顎が斜め下に動きます。口が突然開かなくなった、顎が痛む、などは顎関節症の症状で認められます。顎関節症はさまざまな要因で発症します。噛み合わせが悪くなったことが要因となる例も存在します。舌で歯を押したり、ほおづえをつく、食いしばりなどの日常の習癖で起こることもあります。その状態が続くことで噛み合わせに影響し、噛む動作をすることで顎の骨が少しずつズレていきます。顎がズレると関節円板に負荷を与えるので、顎関節症につながってしまうのです。もちろん、噛み合わせと顎関節症も深く関係しあっており、顎関節症により噛み合わせが悪くなってしまう方や、詰め物や被せ物の治療時に適切な咬合調整がされなかった場合などにも顎関節症を発症してしまう方もいます。
顎関節検査をする時には、顎関節負荷試験という検査を行わせて頂きます。
患者さまにグッと歯を噛み締めて頂き、顎関節に圧がかかった時、左右とも痛みなどが認められないか、不快な症状は認めないかを確認します。また、口を開けるときにかくッと音がすることがあったか、お口が開きづらくないかなどを検査させて頂きます。

4、 姿勢と噛み合わせ

4、	姿勢と噛み合わせ

現代社会ではスマホやパソコンなどを使用したデスクワークによって、ストレートネックと言われる首の適切なカーブが失われ、首の真上に頭が存在せず、首よりも頭が前に出てしまっている方が多くなっています。ストレートネックにより、首や肩こり、頭痛などの不調を感じることがありますが、ストレオートネックは噛み合わせにも影響します。

①頭の位置と下顎の重力による影響
まずその一つに、先述したように下顎は頭蓋骨にぶら下がるように顎の関節や筋肉でつながっているため、頭が前に突き出てしまうことで下顎は重力で前下方に引っ張られ噛み合わせの位置に影響を及ぼす可能性があります。そして、下顎が重力によって引っ張られる力に逆らおうとするため、筋肉が過度に緊張してしまいます。
②下顎を動かす筋肉と全身の筋肉はつながっている
顎を動かすには下顎から頬にかけての筋肉や、こめかみのから頭後方にかけての筋肉、下顎から鎖骨につながる筋肉など、複数の筋肉が協同して働くことでスムーズな動きをします。そのため、ストレートネックなどの猫背などの姿勢の乱れが噛み合わせに影響を与えることも少なくありません。噛み合わせの不調は身体の姿勢が関係しているかもしれません。

5、 噛み合わせと脳への影響

5、	噛み合わせと脳への影響

2012年にアメリカの神経科学専門誌に、噛み合わせの不調がアルツハイマー病の原因になることを発表しました。アルツハイマー病の原因と言われるアミロイドβが脳で増殖することを突き止め、噛み合わせを改善すること、よく噛むことなどが認知症の一つであるアルツハイマー病を予防することにつなるということから、歯科治療における噛み合わせ治療の重要性を示し、高齢社会である日本においても噛み合わせの管理と治療が重要であることは言うまでもありません。

まとめ

噛み合わせ(咬合)は歯科治療において必ず見る必要があると言っても過言ではないほどお口の健康、全身の健康に欠かせないことと考えています。虫歯や歯周病などのお口の病気を治療する中でも噛み合わせが悪いことでその予後や管理が難しくなる例も多くあります。また、補綴治療(詰め物・被せ物)や矯正治療においても顎関節や噛み合わせの検査は必須です。正しい歯の接触とお口の周りの筋肉の調和の取れた状態で咀嚼することで、虫歯や歯周病を予防するだけでなく、脳の病気を予防できること、よく噛めることで癌の予防にもなることがこれまでの研究でわかってきています。今後噛み合わせ治療についてもご紹介させて頂きたいと思います。
みなさん毎日必ず行う咀嚼に関わる噛み合わせを一度見直してみませんか?肩こりや頭痛などの不快な改善するきっかけになるかもしれません。ぜひご相談ください。

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